部屋を出ると、

玄関から見て
俺より奥側の隣の部屋の前に立ち、



コンコンと2回、
狐色の扉をノックする。




「…今行くから」




ボソッと暗い声が
扉の向こうから聞こえた。




しかし。





ガチャ。




俺は扉を開ける。




…こう言っても、
なかなか来ないんだよ。








「美穂早く!ご飯冷めちまうぞ?」





俺は、画面の奥を見つめる、
ボサボサの髪の毛を放置したままの
少女に告げた。




「…分かったよ」




「行くぞ、美穂」




少女…。
俺の双子の姉の、美穂。





美穂はメガネを外し、
充血しっぱなしの目を擦ると
椅子から立ち上がった。



その足取りは、
フラフラしてて危なっかしい。