「いやぁさ、一目見た時から
忘れられないんだよ。
ちょっとは
気に掛けてくれると嬉しいんだけど」
俺のこと何か話してなかったー？
とか、聞いてくるので、
「いや、特には、っていうか
もっと身近な人でいないのかよ」
「身近な人？倉橋とか光井って言ったじゃん」
これ以上詮索すると、
余計なお世話になってしまう。
平沢、健闘を祈るぜ…。
そう思いながら
緊張面で太一を見つめる平沢を横目で見た。
「あー、今までのは少し冗談で。
お前の言いたいこと分かるよ」
「は？」
太一は澄まし顔で俺を見上げる。
口元にはにやりと笑みが浮かべられている。
「俺そこまで鈍くないから安心しろ」
…なんとなく。
コイツの言っている意味、分かった気がする。
「由紀と帰るんだろ？
待たせるなよー」
「ん。じゃーな」
