早々、
『俺にチョコ持ってきた女子カモーン!』
とか言って、どん引きさせている。
平沢は、太一のどこが好きなのだろう。
平沢の表情を伺うと、
太一の方を見て忽然としていた。
乙女…ねぇ。
「広樹、なんでお前朝からハーレムなの」
太一がこちらに気づき、
ショックを受けた様子で近づいて来る。
「え、ついに平沢まで懐柔したのか、広樹…」
平沢は、ピクリと肩を動かす。
自分の名前が好きな男の口から
出たのに対しての反応だろう。
由紀は白い目で太一を見る。
『すみちゃんが好きなのは太一だよ』
と視線で訴えてるに違いない。
「ついにってなんだよ。懐柔なんかしてない」
「あー、それより誰かチョコー…。
あ、ねえ広樹、
美穂ちゃん何か言ってなかった?」
不意に出た、我が姉の名前。
「俺めっちゃアピールしたんだよ、
バレンタイン…。美穂ちゃんに」
「あ、ちょっと待て」



