その空き教室は、日が当たらないし、
掃除は定期的にされているものの、
あまり清潔感がないので人気がない。
元々視聴覚室だったが、
違う場所に広い視聴覚室が出来てから
使われなくなったのだ。
「告白の方法、決めた?」
「え、方法?
普通に好きですじゃダメなの?
ただでさえ緊張するのに、
余計なことしたら絶対ミスる」
「せっかくバレンタインなんだから、
大胆にいってみない?」
由紀は、例えばしがみつくとか…
などと提案したが、
平沢は断固拒否した。
そりゃ、そうだろう。
応援したい気持ちはわかるが。
「あとね、広樹くんに
お願いがあるんだけど、いいかな?」
「お願い?」
「あのね…」
由紀は、何やら頬を赤らめている模様。
「関係ないんだけどその、放課後っ
一緒に帰ろう?」
と、由紀が言うと
太一が教室に駆け込んできた。



