「今日、すみちゃん、バレンタイン渡すの」
由紀が俺に説明してくれる。
誰、とははっきり言わない。
そこでぼかすってことは、
「平沢が、太一に?」
平沢は、コ、ク、リ、
恥ずかしそうに肯定した。
「大好きなんだよね?」
ニヤニヤと、由紀がいじる。
「く、由紀にそう言われるなんて、
この上ない恥辱…」
「広樹くん、すみちゃんね、
太一くんのこと話すとき、
超絶乙女で可愛いんだよ!」
「あ、はい」
…というわけで、俺は平沢のバレンタインに
協力することになった。
平沢が太一に渡すのは放課後、
校舎のどこかに呼び出して告白するとのことだ。
場所は、候補として
図書室、中庭、空き教室があり、
図書室は由紀曰く告白スポットとのことで、
中庭はひと目につくとのことで却下。
3階の北校舎にある、空き教室に決定となった。



