「柳田…は分かるかな?
李人のリは、季節の季のノがないやつ、
カタカナのね。
んで、卜は人」
柳田、李人。
私の記憶に新たに刻まれる名前。
「そうなんですか、いい名前ですね」
言ってから後悔する。
李人さんは、そう?と首を傾げたから。
いや、でも良く合ってると思う。
“李”って、賢いって意味があるし
明らかに人格者な李人さんに合っている。
「ミホちゃんの漢字教えてよ」
李人さんは、一歩私に近付いた。
ドキ、と胸が高鳴った。
広樹以外の男の人とこんな接近したのは
本当に久し振りだったから。
「美しいに、稲穂の穂です」
「へぇ、美穂ちゃんかぁ」
李人さんはなんだか怪しげに笑った。
そして続ける。
「美穂ちゃん、暇?」
と。



