「あ…」
その柔らかな笑みに頬が熱くなる。
どうしよう、なんて言えばいい?
彼は、ヤナギダさんのお兄さんだった。
「あぅ…こんにちは」
顔が赤くなったので好意を持たれていると
思われないだろうか。
いや、待てよ。
その前にそもそも高校生の年齢なのに、
平日の真昼に外出していることを
変に思われるだろうか。
引き籠もりだって、バレる…。
「そういえば俺名前言ってなかったよね」
彼は、名乗る。
「柳田李人って言いまーす」
ヤナギダ、リト。
ヤナギダさんのお兄さんは、
リトって言うんだ…。
せっかく名乗ったのに、
私が何も言わないのをどう思ったのか、
リトさんは、名前の漢字を教えてくれる。
手のひらに文字を書いてくれる。



