「………」
ガラガラ…。
佐藤は図書室の引き戸を開け、
出て行く。
その際に半分くらいまで開けっ放しにした。
由紀が出る時のために。
「はぁ」
佐藤はため息をつき、
階段の方へ去って行った。
「き、気付かれなかったー!」
「ふぅ」
俺らは安堵の息をつく。
が。
「なーにが気付かれなかったよ。
太一の馬鹿ぁ」
「ゲゲゲのゲッ。由紀っ」
由紀がいつの間にか、
廊下に出てきていて、
俺らをムスッとした表情で見下ろす。
「広樹くんごめんね、
変なとこ見せちゃって」
「え、俺との態度ちがくね?」
「少し安心したし…。
由紀が謝ることないよ。
この太一が悪い」
「俺の存在…」



