私は頬に暖かいものが 伝っているのを感じた。 涙だ。 次から次へと溢れ出る涙。 広樹は何回もごめん、と言っている。 「…ココア、ヤナギダさんのだから」 私はフラフラした足取りで、 広樹の部屋を後にした。 自室のPCをシャットダウンする。 とてもじゃないが、 動画なんて見てられない。 ヤナギダさんと勘違いしたとはいえ 広樹に、キスされてしまった。 最悪だ。 実の、弟に…。 私は再び堪えていた涙を零す。