「どういうこと?」
俺が訝しげな顔をしているのが変だったのか
美穂はクスリと笑う。
姉なんだけど、
久々に見た顔がイケてるから、
…なんか変な感じがする。
見惚れたわけじゃねーけど。
と、何故か心の中で弁解してる自分がいた。
「頑張るから、私」
「頑張るって、もしかして」
「うん。まだ無理だけど、
準備はしとこうと思ったから、靴を洗う」
つまり美穂は、外に出るための
努力をしているんだな。
「そっか」
俺は報われた感を感じて、嬉しくなった。
しかし俺の緩んだ顔を見た途端、
美穂は顔を伏せてしまう。
「ん?」
「く、靴洗ってくる」
美穂は顔を俺に見せないように背けて
風呂場へ駆けてしまう。



