【完】こいつ、俺のだから。





「お前も聞くな!違う、違うからな!」



聞くなって言われても、なにが違うのかそれすらもわからないし、あたし。



ていうか佐野、めっちゃ顔赤いよ?



「わかったから、とりあえず楢崎を放してあげて。苦しそう」



そう言うと、佐野は一呼吸おいて落ち着いてから、楢崎を解放した。



「ふぅ〜……。死ぬかと思った」



だろうね。




「お、お前が変なこと言おうとするからだろ!」



「わりぃわりぃ。これからは気をつけるよ」



ホントに悪いと思ってるのか?


そのわりにはケラケラと楽しそうに笑ってるけど、楢崎さん。



おそらくこの会話は、ふたりにしかわからないっぽい。



実は宇宙人だったふたりは、あたしが気づかないうちに、テレパシーを送りあってたとか?



「そのまま想いが通じ合っちゃったりして……。だめだ、気持ち悪い」



「お前の独り言の方が、気持ち悪いわ」



佐野が怪訝そうに睨んできた。