「大丈夫大丈夫、気にしないで。佐野はちょっと関節痛みたいで、こういうのよくあることだから」
うふふっとお上品に笑ってみせると、楢崎は、「お、おう……」と、ちょっと引き気味に、またプリントを書き始めた。
佐野がギロッと睨んでくる。
あたしなんにも知ーらねー。
「でも意外だなー。俺はてっきり、佐野が中原に告ったんだと思ってた」
え……?
あたしも佐野も、楢崎の言葉にキョトンとしてしまった。
「だって佐野、昔から中原にばっかりちょっかいかけてただろ?
だから佐野は中原のことが……うぶっ!!」
何かを言いかけた楢崎の口を、佐野は思いっきり塞いだ。
ものすっごい声聞こえたぞ、今。
「て、てめぇ変なこと言うんじゃねぇよ!俺は……俺は、そんなんじゃねぇ!」
「……?どんなの?」
続きの言葉、佐野にはわかったの?


