スラスラと出てくる、可愛くない言葉達。
だけど佐野は、そんなあたしの言葉を無視して、強引に後ろに隠した手を握ってきた。
「っ!」
「なに意地張ってんだよ」
「……は?べ、別に、意地なんて張ってない……」
佐野は相変わらず、ジッとあたしを見つめる。
もうバレてるかもしれないけど、心が読まれそうで、あたしは意地でも隠したかった。
弱いところなんて、見せたくない。恥ずかしい。
「やっぱ、カバン貸せ」
あたしの手からまたカバンを奪った佐野は、もう片方の手で自分のとあたしのカバンを持つ。
そして空いた方の手は、ギュッと優しくあたしの手を握った。
じんわりと、包み込むようなぬくもり。
震えるあたしの手を、温めてくれてるみたいな。


