「だから、なんであんな嘘ついたの!?」
「はぁ?仕方ねぇじゃん。お前困ってたみたいだから、見たくもない告白現場をたまたま見かけた俺が助けてやったんだろ?
わぁ〜、俺ってやっさしぃ〜」
いやいやいや。
「意味わかんない。なんでそれであたしと佐野が付き合わなきゃなんないワケ?
まじ無理。断固拒否。ふはは、おかしすぎて笑えるわ」
「てめぇブス。キモい笑い方すんなよ。まじドン引きだわ。俺だってブスが彼女なんて勘弁だけど、でもまぁめんどくせーし、お前俺と付き合っとけ。
フリだよフリ。仕方ねぇから1ヶ月くらいなら彼氏のフリしてやるよ」
「なんで上から目線なんだ?つかブスっつったなおい。
とりあえず無理ありえない無理ホント無理」
無理すぎて、息継ぎせずに言ってやったよ。
あたしはふんっと鼻で笑って、佐野の横を通り過ぎた。
だが、
「待てよ」
それは簡単に、佐野の手によって阻まれる。
「なに?」
めんどくさい、と、あからさまに嫌な顔をして佐野を睨む。
だけど、佐野にそんなものは通用しないみたいで。
「俺はお前を助けてやった。だからお前は、俺に借りを返す義務がある」
……はぁ?


