数秒の間のあと、ゆっくり目を開けると一瞬にしてあたしの唇は奪われた。
やわらかく押し当てられた佐野の唇は、すごく熱い。
「もう1回言って」
「……え?」
「よく聞こえなかった……。だから、もう1回……ほら」
窓に手をつき、無理やりにでも名前を呼ばせようとしてくる。
聞こえなかったのが嘘なのか本当なのかはわからないけど、佐野の顔が真っ赤だから自然と笑みがこぼれた。
「なに笑ってんだよ……」
照れてる。
……かわいいな。
「……悠月……」
「……」
「好きだよ……っん、ふ……」
紡いだ言葉は、強引に押し付けられたキスに封じ込められ、
忍び込んできた舌と舌が、甘く絡む。
背中に感じる窓ガラスの冷たさも、いつしかあたしの熱でぬるくなっていた。


