はぁっと自己嫌悪のようなため息をつき、恥ずかしそうに片手で顔を隠す佐野。
そんな弱ってる姿に胸がキュンっと締め付けられて、あたしはなんだかはがゆい気持ちになった。
なんとなく、佐野の顔に手を伸ばす。
その下に隠されてる表情が見たい、なんていう、ちょっとした出来心。
だけど、
「隙あり」
「えっ……きゃっ!」
手の下から覗く佐野の口角が一瞬だけあがったのが垣間見えた。
次の瞬間、顔を覆ってたはずの手はあたしの手首を掴み、その下に隠れていた佐野の唇は強引にあたしの唇を奪う。
「……ふっ、ん……」
「……っ」
チュッと吸い付くような音をたてて唇が離れると、佐野は真剣な顔であたしを見つめた。
すごく至近距離に顔があって、ドキドキしてしまう。


