「なに言ってんだよ。こんなんじゃまだ足りない」
けれど佐野は、さらに追い打ちをかけるようにパニックで口をあんぐりさせてるあたしに迫ってくる。
わわわ!近い近い……!!
血液が沸騰しそうだ、どうしよう。
「そうだな……」
ふいに、伸びてくる手。
一瞬のためらいのあと、佐野の指はそっとあたしの短い髪に触れた。
「……っ……」
その指は、もてあそぶようにあたしの髪に絡んでくる。
手が頬に触れるたびに、ドキンと心臓が跳ねた。
「さっきめっちゃムカついた。俺が先に言いたかったのに」
……え?
「似合ってる」
「っ!」
「お前は可愛いから、短い髪もよく似合う」
いつになく優しい瞳に、胸が高鳴る。
そういえばあのキス事件以来かも。こんな近くに佐野がいるのは。
だからかな?
息をするのも忘れるくらい、ドキドキした。


