【完】こいつ、俺のだから。





根本はあたしだった。



不安の種を植え付けてたのは、自分自身だったんじゃないか。



バカでしょあたし……。



なんで先輩、デートのとき手をつないでくれなかったんだろうとか。


なんで先輩、キスもしてくれないんだろうとか。



そんな疑問を、先輩はあたしのこと好きじゃないのかな?って、

勝手に不安に置き換えてた。



先輩はあたしのために、〝いい彼氏〟を演じてて、それに疲れてしまってたことに、気づいてあげられなかった。




「先輩、ごめんなさい……。あたし、全然知らなくて……」



「仁菜が謝ることじゃない。俺が悪いんだよ。あのときもっと仁菜のこと諦めずに頑張れたらよかったのに」



それに……と先輩は続ける。



「ちょうど、そんなタイミングで前好きだった幼なじみに告白されてさ。

俺、そのとき相当こたえてて、もう勢いでそいつのこと抱きしめてOKしちゃってさ……」



あぁ、あたしが見たのは、その光景だったんだ……。



「でもすぐに、自分はバカなことしたって気づいた。1回そいつとは話して、仁菜のもとへ戻ろうとしたんだけど……」



もう既に、あたしは先輩が女の子を抱きしめてたことを知ってて、浮気したと思いこんでたんだね。