瞬時、クルリと後ろを振り返った佐野は、その足で地をけった。 ビュンッと風が作られるほど、とてつもない速さで佐野が小さくなってく。 小さく……? え、逃げた!? 「ちょ……佐野……っ」 手を伸ばしても、もうそこに佐野はいなくて。 ……嘘だろ。 家の近く。 そこであたしはひとり、ポツン状態だった――……。