「そろそろ彼女のとこに行ってあげたら?
どうせもうすぐ別れるんだろ?仕方ないから今くらい、貸してやるよ」
「……!!」
なんで……てめぇに上から目線でそんこと言われなきゃなんねぇんだ。
貸してやる?
あいつのことモノみたいに言うんじゃねぇよ。
こんなやつに、俺はあいつを奪われるのか?
「じゃあね」
爽やかに薄い笑みを残した戸田は、ガラッと静かに教室を出て行った。
悔しすぎて、拳を強く握りしめる。
全ての怒りを、握りつぶすように。
ひとりきりのこの空間。
「くそっ……!」
俺は強く、拳を壁にぶつけた。


