戸田は小さく鼻で笑い、机から立ち上がった。
「……ぶっ殺す、か。ずいぶん物騒なことを言うね」
「本気だ」
「ふーん。学校1のモテ男くんの弱点は、あの仁菜ってわけか。
おもしろいね、それ」
クククッとおかしそうに笑う戸田に、イライラは募る一方。
俺、絶対にこいつとは仲良くなれねぇわ。
「俺ね。お前のそういう真っ直ぐな目は苦手なんだ」
睨むように、俺の目を見てそう言う戸田。
その瞳はギラギラとどこか威圧感がある。思わず怯んでしまいそうになるほど。
だけど少し、さみしそうにも見えた。
「……お前らみたいなヤツが、羨ましくて仕方ないよ」
「えっ?」
どこか自嘲気味にそうつぶやいた戸田の言葉。
小さすぎて、うまく聞き取れない。


