「どうだかな」
「ふーん。意地でもはぐらかす気か。これはもう一度取り返すチャンスがありそうだな」
「……っ!」
戸田の言葉に、動揺してしまった。
その隙をついたかのように、余裕の笑みで笑うそいつは机から立ち上がる。
勝ったも同然のような、佇まいだ。
「仁菜は返してもらうよ。偽カレくん」
「やらねぇよ」
「俺に勝てる自信、ある?」
……なんでてめぇは、そんな余裕なんだ。
ムカつく。すっげぇムカつく。
なによりも余裕ない自分が、苛立たしくて仕方ない。
……でも、守ってやるって決めたから。
俺が、あいつを笑わせてやるって決めたんだ。


