「お前、あいつに何した」
「先輩をお前呼ばわりとは……やっぱりモテる男は一味違うね。佐野悠月くん」
俺の第一声に、戸田はふっと嫌味っぽい笑みを浮かべた。
……俺のフルネーム。知ってんのか。気持ち悪りぃ。
「悪いけど、敵を敬う気持ちなんてねぇから」
「敵っていうのは、恋敵って意味でいいのかな?」
「わかってんなら聞くなよ」
「生意気なガキだな」
「あぁそうだな。それは認める」
ひと段落して、戸田は足を組み直す。
「仁菜と付き合ってるんだよね?その割りには佐野くん、しょっちゅう俺に突っかかって来て余裕なさそうに見える。
ねぇ、お前らホントに付き合ってんの?」
鋭いなこいつ。
俺らがホントは付き合ってねぇの、勘付いてるのか。


