「今朝のでわかっただろ?」
屋上に着いてすぐ、佐野の第一声がそれだった。
「俺たちもう、付き合ってることになってんだよ」
……あれ?
あたしさっき、こいつ赤い顔して可愛いなぁ、とか思ってなかったっけ?
あれ?
じゃあなんで目の前にいるこいつは、不敵に笑ってんの?
そりゃもう、悪魔のような笑みで……。
「だからお前は俺に借りを返せ。昨日言ったやつあるだろ。3つでいいから俺に従えってやつ。
その1つ目。俺と付き合うフリをしろ」
「いや」
あたしは首を振った。
本当にいやだ。だって佐野なんかと付き合ったら、周りがガヤガヤとうるさいじゃないか。
今朝だってそうだ。
みんなに茶化される。
そんなのはごめんだ。


