無意識のうちに、ジャージのズボンのポケットに手を突っ込んだ。
そして、そこに入ってた自分のスマホを取り出す。
ぶら下がってるブタは相変わらず、愛くるしくドーナツを頬張っていた。
あたしもカプッと、佐野からもらったアイスにかぶりつく。
「甘い……」
チョコの味は、あたしの体を甘く冷たく冷やして行った。
間接キスは、チョコの味。
全てを食べ終えたあたしは、もう一度看板を塗ることに励んだ。
邪念を払うように、ムキになって丁寧に色を塗った。
「どうしたの急に」
「別に」
光にそう聞かれたけど、なんでこんな意地張ってんのか、自分でもよくわかんない。
長いロングの髪にペンキがつこうと気にしなかった。
心の中で、なにかが葛藤してるような感じがする。


