「んで、これ」



「え?」



「もういらねぇからやる」




押し付けるように佐野は、食べかけのチョコアイスをあたしによこしてきた。



……チョコっすか。




文化祭準備の最中ってこう、ソーダっぽい雰囲気なくない?



まぁチョコでも別に、もらってあげないこともないけど。




「ありがと」



……間接キス、だけど。





「佐野くん行こ。ヤバイよこれ。今日早く帰れるかなー?」



「あー、ホントにめんどいな。サボりてぇ」



「それはダメ。ほら早く」




さっきまで佐野の隣にいたのはあたしなのに、一瞬にしてそのポジションは前野さんに変わった。



胸がギュッと締め付けられる。