【完】こいつ、俺のだから。





私はすぐに上を向いて文句を言ってやった。



「あんたが襟なんか引っ張るからでしょ!?おかげであたしの首が締まった……わ……」



ずっと佐野は、下を向いていたらしい。



意外と至近距離で、見つめ合う感じになってしまった。



うわ、顔近っ……。




近すぎて、びっくりしすぎて、お互いに驚きを通り越して、硬まってしまう。



だけどすぐに佐野に異変が起こった。



みるみるうちに頬が赤く染まって、なんと耳まで真っ赤だ。



思わず凝視してしまう。




「は、離れろ!ブス!」



「…………」



だけど恥ずかしかったのか、パッと佐野があたしの体を離した。



なに?今の……。



佐野の顔、めちゃくちゃ赤かった。



嘘。


佐野くらいの男なら、普通この程度で赤くならないでしょ。