「き、嫌いじゃねぇけど……」



「だったら食べて」



「何企んでる?」



「なんも考えてないよ」



「ウソだ。メイド服は絶対着せないからな」



……まだその話引きずってたのか。



「着ないよ」



「じゃあ約束しろ」



「……わ、わかった。このドーナツ受け取って、そんで……それくれたら約束する」



あたしはそう言いながら、佐野の手の中にあるブタのキーホルダーを指差した。



「は?お前、これほしいのか?」



「うん」



「こんなブッサイクなブタが?」



「可愛いじゃん」



……それに、佐野からもらえるってだけでいい。


それだけで、もうあたしの中では特別だ。