持ち帰り用にした佐野は、ドーナツとブタのキーホルダーを受け取ると、店の外へと出た。




「ほら、食えや」



そして、ドーナツを取り出しあたしに差し出す。



「ありがと……」



「時間ねぇからこのまま買い出し行くぞ」



やっぱりだ。


たぶん佐野は、文化祭の買い出しの分のお金を考えて、自分の分が買えなかったんだろう。


そんなにお金ないクセに、あたしのドーナツ買うとか、ホントバカとしか思えない。




「待って佐野」



あたしは呼び止め、手に持っているドーナツを半分に割った。



「半分こ」



そして2分の1になったドーナツを、佐野に渡す。



「は?いらねぇよ」



「なんで?この味嫌い?」