「ほら、どれがいいんだよ。選べ」
佐野はホントにあたしのを買うつもりで、しっかりドーナツを取る用意をしている。
「じゃあ……これ」
あたしはしぶしぶ、前に佐野が食べてておいしそうだと思ったドーナツを選んだ。
佐野はレジにいって、そのドーナツを買う。
「あれ?佐野は食べないの?」
「俺はいい。いっつも食ってるし」
ポイントカードを店員に渡しながら、そんなことを言う佐野。
そのとき財布を盗み見したけど、野口さんが数人しかいないようだった。
……もしかして。
「お客様、ポイントが100貯まってますので、こちらのグッズをプレゼントします!」
そのときレジの人が、明るい声でそんなことを言った。
見てみると、その手にはこのドーナツ屋のキャラクターのキーホルダーらしきものがある。
ドーナツを持った可愛いブタだ。
ていうか100ポイントって、どんだけここ通ってんの?佐野。


