【完】こいつ、俺のだから。




足がもつれ、ヤバイと思った瞬間。



私はドサッと後ろ向き倒れ込んだのだ。





「っぶね……。てめぇ、何してんだよ」



絶対、背中を打つと思ったのに。



佐野の背中に、あたしの背中がドカンとぶつかると思ったのに。



咄嗟に佐野がこっちを向いて、私の体を受け止めていたのだ。



背中に感じるのは、佐野のたくましい胸板。


地味に私の肩なんか持って、支えてくれてる。



うわ、なにこのシュチュエーション……。


近すぎて……ドキドキす……



「お前まともに歩くこともできねぇのかよ。このドジ」



頭上から、佐野の乱暴な言葉が聞こえた瞬間。



プチン。


あたしの中のなにかが切れた。



ドキドキ?そんなの全然なかったね。



こんなやつにときめくワケがあるまい!


ムカつくに決まってるだろ!