「げっ」
思わず声に出してしまうのも当然。
だってあたしの目の前に、今1番会いたくないやつがいるんだから。
「さっきから全部聞こえてるんだよ。でけぇ声で喋りやがって」
「う、うるさいな!あたしは認めてないからね!」
「うるさいのはお前だろ。
悪いけど、打越(うちこし)さん。こいつ借りてくな」
佐野はあたしの制服の襟を掴むと、打越さんである光にそう告げた。
光は「どうぞどうぞ〜」と、にこやかなスマイルで見送ってくれる。
って、止めろよっ!!
私の心の叫びもむなしく、あたしは佐野に、ずるずるとひきずるように連れて行かれる。
ちょっ、首苦しいし……!
てか、後ろ向き歩くの難しいって!
「佐野……っ、待って!」


