「光、よくこんなのOKできたね。あたし想像しただけで虫唾か走るよ」
「確かに仁菜が〝おかえりなさいまさせ、ご主人様♡〟なんて言ってるの想像できないわ」
「するな吐くぞ」
「まぁまぁ落ち着いて。一種のコスプレだと思ってやりなよ〜」
「断固拒否!」
そんな言い合いをしてると、文化祭準備をしてるクラスのみんながあたし達の話に耳を傾けていたらしい。
「お、おい……!中原がメイドだってよ」
「打越だけでなく、中原も……!見てぇぇ!」
「「…………」」
聞こえてるぞ男子共……っ!
この変態野郎が!
――グシャッ。
「お、おい佐野……!どうした!力入りすぎてしおりがつぶれちまってるぞ……!」
途端、楢崎の焦ってる声が聞こえて、あたしは振り返った。
するとヤツは、自慢気に見せてきたあの文化祭の冊子を片手で握りつぶし、フルフルと小刻みに震えていたのだ。


