「光はあいつに騙されている!あんなののどこがいいか、あたしにはこれっぽちもわからないね!」
「えー。でも佐野くんって、人気なくせに、可愛い子告白されても絶対に振るって有名だよ?
そんな佐野くんが、なんで仁菜とは付き合ってもいいって言ったんだと思う?」
光はコテン、と首を傾げた。
無駄に可愛いな、なんて思いながらうつむく。
「…………それは、あたしもわからない」
そう。
未だにあたしは、それだけがわからない。
佐野の意図が、掴めない。
「はぁ〜。鈍感だ……」
すると光が、やれやれと言った様子でため息を吐いた。
ん?今なんて言った?
全然聞き取れなかった
「おい、ブス」
そんなときに、悪魔は降臨してくるもので。
背後に感じるドス黒いオーラに、あたしはおそるおそる振り返った。


