「お前のせいで、俺の純情ハートが普通に傷ついてんだよ。責任とれやブス」
そんな文句を並べたって、こいつが目を覚ます様子はない。
しんどいせいか、閉じてるその目には涙が浮かんでた。
「無防備な顔……」
俺はそっと、仰向けに寝てるこいつのベッドに手をついた。
そして、熱いまぶたにキスを落とす。
しょっぱい味が、一瞬で広がる。
涙の味。
たぶんこの先も、こいつのこと好きでいたら、俺はまた傷ついて、ヘコんで、落ち込むことがあるかもしんねぇ。
幸せとかそんなもん、この先ずっと、こないかもしんねぇ。
だけど……。
なんでか不思議なことに、別に幸せなんて逃していいって思えるんだ。
ただ、
お前だけは、逃したくない。


