朦朧とする意識の中で、こないだの出来事を思い出していた。 ――『今ある弱音、全部吐け』 それは2個目のお願い。 あたし、あいつの前で思いっきり泣いちゃったんだよね……。 うわ……恥ずかし。 しんどいのはイヤだけど、これはこれで良かったのかも。 ちょうど熱だしたおかげで、佐野に顔合わせずに済むし。 ――『忘れろよ。あんなやつ』 ……どうして佐野は、あんなことを言ったのか。 ――『……早く、笑って……』 強引だけど優しい声を、頭の中で繰り返しながら、 あたしは静かに眠りについた。