「バカねぇ。見てみなさいよあの佐野くんを。あんな必死になって棒を倒しに行ってるじゃない」



光は今もなお、現在進行形で行われてる棒倒し競技を見ながら、そう言った。




「ねー。なんであんなにやる気になってるんだろうね、あいつ」



ぼんやりとつぶやきながら、あたしは長い髪をポニーテールに束ねた。



そして、懸命になってる佐野を見つめる。




すると隣から、はぁーっとため息が聞こえてきた。




「あんたがさっき、〝体育祭で頑張る人かっこいー〟とか言ってたからでしょ……」



光が呆れたように、そう言う。




え……。



「……はぁっ!?」



あり得ない!


そんなはずない!




あんな言葉、普通、本気にしないでしょ!?