「うるせぇ!こいつは用があるんだよ!」
ないけどね。
あたしの記憶が正しければ、あんたさっき帰ろうとしたあたしを無理やりここに居座せたよね。
「あとお前ら……その写真、す、捨てとけよ!」
「えー、いいの?捨てちゃって」
「……っ!……や、やっぱダメだ!置いとけ!
じゃあこいつ、送ってくる!」
佐野にとって、その写真はそんなに大切なものなの?
中学の遠足のときに、間違って買ったやつなのに?
「ふふっ。わかったわ。じゃあゆづ、ちゃんと送ってあげるのよ?
仁菜ちゃん、今日はありがとう。ゆづのこと、これからもよろしくね」
にっこりと笑って、優しい言葉をかけてくる佐野のお母さん。
あたしはペコっとお辞儀して、「お邪魔しました」とあいさつした。
最後に亜里沙ちゃんが、また遊びに来てねって、天使の笑顔で言ってくれたのを、あたしは忘れないだろう。


