「……亜里沙(ありさ)!なんでこんな早く帰ってきてるんだよ!お前、保育園は?」
みぞおちを押さえながら起き上がる佐野は、亜里沙ちゃんと呼ばれるその女の子に聞いた。
あたしもすぐに座り直して、体勢を立て直す。
「お母さんお仕事終わるの早かったから、今日はもう帰ってきたの。
あっ、お母さん!」
……ドキッ。
え、お母さん?
「どうしたの亜里沙?誰かいるの?」
ここからではまだ見えないが、すぐそこで階段をのぼってくる音とともに、女性の声が聞こえた。
待って、もしかして……!
「うん!お兄ちゃんがお姉さん連れてきてる」
横を向いて、隣にいるお母さんを見ながらあたしを指差す亜里沙ちゃん。
……ドキドキッ。
まじで、嘘。
「ゆづ?誰かいるの?」
ひょこっとドアから顔を出したのは、可愛らしい雰囲気の女性だった。


