そしてギュッと、手を握られた瞬間、




「うわっ」



それはホントに、一瞬の出来事。




――ドサッ。



バランスを崩した佐野が、あたしの上に倒れこんで来て、そのまま覆いかぶさる。



「……っ」



佐野の吐息が、耳もとで聞こえる。


同時にあたしのうるさい心臓の音も、聞こえてきた。




「わ、悪い。別に今のは、押し倒そうと思ってわざとやったわけじゃ……!
ただ、手を握ろうとしただけで……」



言い訳をしながら、床に手をつけて体を起こした佐野。



そんな言葉を聞いてる余裕なんてない。



近すぎて、息が止まるかと思った。




「お前、ケガは?頭とか打ってないよな?」



仰向けのまま放心してるあたしの頭を、佐野はそっと、壊れもののように撫でる。



あぁもう。この触り方はずるい。



大切にされてるような、そんな錯覚に陥ってしまう。