【完】こいつ、俺のだから。





「ち、違う!今のはなにかの間違いだ!早まるな!」



それあたしのセリフな。



あたしだって、きっとなにかの聞き間違いだって、そう信じたかったけど、心メモリアルにはしっかりと記憶されていた。



どうやら間違いではない。



確かに佐野は今、オヤジギャグを言った。




「佐野、そろそろ病院に行ってきなよ。精神科ってところがあるから」




まさか佐野が、中年オヤジ(担任の先生)だけでなく、オヤジギャグまで好きだったなんて。



軽くショックを超えて、もはやカルチャーショックだ。




「ちょ、ちょっと待て!落ち着け、俺の話を聞けよブス!」



「悩み?うん、聞いてあげる」



「違うつってんだろ!」



人の親切を、罵声でぶっ飛ばしたぞ。こいつ。




「これはさっき、お前がプリント出してるときに、楢崎に言えって言われたんだよ!」



「え、楢崎?」