「そんな思い詰めた顔をしないでください。言った通り、藤堂くんのように、最後を悔いているわけではありませんから」


でも・・・・・・切腹したのに、悔いてないなんて。


「ただ、藤堂くんを見て思ったのです。話を聞いてもらうだけでも、少しは気が楽になるかもしれない・・・・・・とね。ですがそれに、夜南くんを巻き込むのは、自分としてもいただけませんがね」


苦笑する山南さんは、テーブルの上に、肘をたてて組んだ両手の上に顔をのせた。


「それでも、新撰組にいた皆さんたちには言えないものですから」


「はい、聞きますよ。あたしでよければ・・・・・・」


力になりたい。そう、思った。


「私は、新撰組を脱走して、途中で見つかり切腹しました・・・・・・」


山南さんの口から出た言葉は、胸の奥に届く。