ほ、本当に、土方さん・・・・・・?


さっきまで、雨に八つ当たりしていた人とは思えない。


「にしても、魚多いな」


土方さんが、一番大きな大水槽を見て言う。


「はい。観賞用ですけどね」


「食えねえのかよ」


突っ込むように返す土方さん。


おもしろい・・・・・・!


「はい」


「んなもん食えねえのに、何が面白いんだか・・・・・・」


そんなに食べるのが必要なのかな・・・・・・?


「面白いですよ。それとも、今すぐ帰ってコーヒーでも飲みますか?」


あたしが言うと、土方さんはフッと笑った。


「いいや・・・・・・案外、いいかもな。おい、平助が呼んでるぞ」


土方さんが指す方を見ると、


「雛姫ー!」


大きく手をふって、あたしを呼ぶ平助くんがいた。


「じゃあ、あたし行ってきますね!土方さんも、ゆっくり楽しんでください」


「ああ」


この日、一日中雨はやまなかった。


だけど、この日は、あたしたちにとって、大切な記憶の1ページとして刻まれた。