私の名前…何だっけ…?
そうだ。鈴城 恵美。
自分の名前も忘れてしまうほど意識が薄い。もうきっとこのまま消えてしまうんじゃないかってくらい。
大学に在学中。東京のK大学に行きたくて上京したものの、彼氏も友達さえもできない状況だ。私の性格に難有りなのだろう。
あぁ…このまま消えてしまえたら……全てを投げ出せたらどんなに楽だろう。
そんな意識が朦朧とする中、ぼーっ歩いていた。気がつくと知らない場所。
「ここ…どこ?」
辺りには何もない。いや、あった。古そうなお店が一軒。
「自然堂…?食堂か何か?」
古ぼけた店に掲げられた看板。
そこに書かれた『自然堂』という文字。恐らく、この店の名前だろう。
「食堂とは失礼だなぁ。立派な本屋だよ。ほ・ん・や。」
「え…?」
声がした方向に振り向くとそこには綺麗な顔立ちをした少年がいた。
「ようこそ、自然堂へ。可愛いお客さん。」
「あんた…誰?」
「おや、これは失敬。僕はこの店のオーナー、テンマだよ。」
「テンマ…」
これが私の物語の始まり。
そうだ。鈴城 恵美。
自分の名前も忘れてしまうほど意識が薄い。もうきっとこのまま消えてしまうんじゃないかってくらい。
大学に在学中。東京のK大学に行きたくて上京したものの、彼氏も友達さえもできない状況だ。私の性格に難有りなのだろう。
あぁ…このまま消えてしまえたら……全てを投げ出せたらどんなに楽だろう。
そんな意識が朦朧とする中、ぼーっ歩いていた。気がつくと知らない場所。
「ここ…どこ?」
辺りには何もない。いや、あった。古そうなお店が一軒。
「自然堂…?食堂か何か?」
古ぼけた店に掲げられた看板。
そこに書かれた『自然堂』という文字。恐らく、この店の名前だろう。
「食堂とは失礼だなぁ。立派な本屋だよ。ほ・ん・や。」
「え…?」
声がした方向に振り向くとそこには綺麗な顔立ちをした少年がいた。
「ようこそ、自然堂へ。可愛いお客さん。」
「あんた…誰?」
「おや、これは失敬。僕はこの店のオーナー、テンマだよ。」
「テンマ…」
これが私の物語の始まり。
