黒と赤

「なぁ?
何でだよ」

「どうでもいいだろ
てめぇにそれを言う必要はねぇよ」


俺はぎゅっと拳を握った

「お前の目
闇で染められてんだよ」

そんなこと言われたのは初めてだった

すこしだけ
ほんの少しだけ心の奥底が揺らいだ気がした

「なぁ
もう少しで時間無くなるんだけど…」

刃鋭の声がして我に帰りこころを入れ直す

そしてギンと睨み付けると殴り合いを始めた

俺はニコリと笑いながら喧嘩を続ける

そして相手が弱り自分が上になった

ポケットに手を入れ静かにナイフを開く

「これで終わりだ」

俺が静かに冷酷に、言うと

「俺は…
お前を救いたかった…」

う……

少し後ろに後ずさった