瞼をひらく。そう、さっき時みたいに。
でも、さっきというより昔に感じられた。

「アヤメ・・・?起きたか?」
私の名前を呼んだ人が心配そうに私を見る。

辺りを見回すと、古い殺風景のマンションらしい。
団地にも近いかもしれない。窓からこの建物と同じだと思われる建物が見える。6と書いてある。

私が寝ていたのは寝心地の悪い病院みたいな白いベットだった。部屋の壁は体育館の壁のような感じだ。

「なぁ、お前アヤメなんだろ?」

男は間髪入れずに問いかけてくる。
私は少しだけその男を見た。

やはりこの面影は浩太なんだろう。
そして私は

「ううん。違います」

そう答えた。