放課後。

私は部室のカギを開け、〈探偵部 依頼受付中〉の看板をドアにかけた。

部屋は相変わらず汚い。いつか掃除をしようとは思ってるけど、なかなか手が出ない。タワーマンションよろしく、積まれた文庫本は今にも倒れそうだった。

優介とのぞみがやがてやって来た。
「南雲ちゃん。早いね」
優介はどこか楽しげだった。
私は先輩命令を守ってこういった。
「工藤さん、何か良いことでもあったんですか?」
「朝の事件さ」
「あのスプレーの?」
「謎が俺を呼んでいる」
「え?」
「出番だな」

…………。

優介はうんうん、と黙ってうなずく。
「やったるぜよ」

「なんでいきなり土佐弁に?」

「言わせとけ南雲」
のぞみがキリッとした声でいった。