私たちは西校舎の解放区に足を踏み入れた。

廊下には四人の男子生徒がいて、関所のように私たちの前に立ちふさがった。


「待て」
と、男子生徒の一人が私たちを止めた。


「この中に宮下ってのがいるだろ。話がしたいんだ」

「断る。帰りな」

「どうしてだ?」

「お前、探偵部の竺丸ってやつだろ?音笛さんから、お前は中に入れるなって言われてるんだよ。悪いな」

「困ったな」
優介は髪をかきあげると同時に、その男子生徒の腕を背中にねじりあげた。

「俺は用があるんだよ」


「痛い、放せ!」

「ここを通るぜ?」

「嫌だね」

優介はさらに力をこめた。



「おい、放してやれ」

冷たい声が聞こえた。
音笛だ。

優介は手を放した。


「話が早い、中に入れてくれ。宮下に話があるんだ」

「探偵さんよ。ここは俺たちだけの世界だ。勝手をされちゃ困る」

「ああ、手下のことか、すまん。手加減はしたんだぜ」

「中には入れられない」

「バックヤードユニオン以外は入れるって聞いたけどな」

「そりゃ聞き間違いだ。バックヤードユニオンの他にもお前ら探偵は入れさせない」

「何故だ?」

「理由をいうつもりはない」

「そうかよ。そんなら仕方ないな。力ずくでいくがいいか?」

「おい、俺の一声で何人が現れるか知ってるのか?」

「さあな」

「お前らは邪魔なんだ。消えろ」


私たちは結局中に入ることを諦めた。