夏の朝が好きだ。


朝方まで映画を見て、恍惚(こうこつ)状態のまま外に出る。
セミはまだ眠りの中だ。朝もやに包まれた街にゆっくりと陽がさすのを黙ってみているのがたまらなく好きだ。
世界が何か魔法にでもかかっているような、表現しがたい魅力に私はとりこになっていた。


長い坂道を自転車で下る時、風は涼しく気持ちがいい。

これが自由か。


そう思うとウキウキと胸は踊った。