ベッドの前の壁に貼ってある紙を読み上げた私は意外にも冷静だ。 普通、「あなたは記憶障害があります。」なんて告げられたら人は多少、驚きや戸惑いを見せてパニック状態になったりするのかもしれない。 けれど、もう記憶障害になって四、五年は経つ。 微かにだが記憶障害を持っているということは覚えているしい。 だから「あ、私記憶障害があるんだった」ぐらいにしか思わない。 それに昨日の私が今日の私のためにこんな紙を壁に貼っておいてくれているんだ。 それだけで今日の私は強くなれる。